■特段
■事情
主文
本件受継申立てを却下する。理由
第1当事者の求める裁判
1申立ての趣旨及び理由申立人は,「申立人と相手方間の当裁判所平成5年(ワ)第4294号販売委託手数料等請求事件(以下「基本事件」という。)について,相手方は,民事再生法(以下「法」という。)107条1項により,受継する。」との裁判を求め,その理由として,要旨,「基本事件の係属中,名古屋地方裁判所が,相手方について,法に基づく再生手続開始決定をしたため,申立人の相手方に対する販売委託手数料等請求を内容とする基本事件は法40条1項により中断した。
申立人は,基本事件で請求する販売委託手数料債権を含む債権(以下「本件再生債権」という。)について,同裁判所が定める再生債権届出期間内に届け出たが,再生債務者である相手方がその全額を否認したので,相手方との関係で上記販売委託手数料債権の確定を求めるため,法107条
1項により本件受継申立てをする。」と述べ,なお,本件受継申立てが法107条2項,105条2項が定める1か月の不変期間経過後に申し立てられたものであることについて,要旨,「本件再生債権が調査で否認されたことについて申立人に対して何の通知もなかったこと及び基本事件は,相手方を原告とし,申立人を被告とする関連訴訟事件と併合審理されていたもので,本件再生債権と関連訴訟事件での相手方主張の債権とは密接な関係があるところ,本件受継申立てが認められないと,申立人の相手方に対する上記販売委託手数料債権のみにつき権利行使が許されないこととなって,当事者間の公平に反すること等の諸事情があるので,本件受継申立てを認容すべきである。」と主張する。
2相手方の答弁
相手方は,「本件受継申立てを却下する。」との裁判を求め,その理由として,「本件受継申立ては,法107条2項,105条2項が定める1か月の不変期間経過後のものであって,不適法である。」と述べた。
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第2当裁判所の判断
1判断の前提となる事実記録によれば,次の事実が認められる。
(1) 基本事件とその審理経過
ア基本事件は,申立人が,申立人と相手方間の別紙契約目録記載の各店舗に関する,靴等の委託販売を内容とする「靴流通センター・オーナーシステム契約」(以下「本件契約」という。)に基づき相手方から受領すべき販売委託手数料の一部1207万9840円がノウハウ料名下に不当に差引控除されて未払となっているとして,相手方に対し,1同金員及びこれに対する遅延損害金の支払,2本件契約に基づく契約関係の存在確認,3本件契約に基づく相手方に対するノウハウ料名下の金員支払義務の不存在確認を求める事案である。
イ基本事件は,平成5年9月17日福岡地方裁判所に提起されたが,申立人と相手方間には,既に,相手方を原告とし,申立人を被告とする,本件契約に関する訴訟が名古屋地方裁判所に係属していたこと(同裁判所平成5年(ワ)第1919号建物退去引渡請求事件。
以下「別件訴訟」という。)などから,同裁判所に移送され,平成6年2月24日,他の関連事件とともに,別件訴訟に併合されて審理されることになった。
ウ別件訴訟は,相手方が,本件契約が申立人の債務不履行により解除されたとして,相手方に対し,別紙契約目録1,2,4記載の各店舗の明渡し,残存商品の引渡し,解除後の商品販売等による損害賠償金等の支払を求める事案である。
(2) 相手方に対する民事再生手続の経過
ア相手方は,別件訴訟及び基本事件の係属中の平成13年1月15日,名古屋地方裁判所から民事再生手続開始決定(以下「本件開始決定」という。)を受けたが,同裁判所は,同決定において,(ア)再生債権の届出をすべき期間:平成13年2月28日まで,(イ)一般調査期間:同年4月18日から4月27日まで,と定めた。
イ名古屋地方裁判所は,平成13年1月15日付で,申立人を含む債権者に対し,再生債権届出書用紙のほか,別紙「債権者のみなさんへ」と題する書面等を送付した。
別紙「債権者のみなさんへ」と題する書面には,「届け出られた債権については,債務者がその内容を調査し,認否書を作成します。
認否書は,一般調査期間中,債務者の主たる営業所又は事務所で閲覧できます。
届け出られた債権の認否の内容は,各自で確認してください。」と記載されていた。
ウ申立人は,平成13年2月28日名古屋地方裁判所受付の同月23日付再生債権届出書をもって(なお,同再生債権届出書は,上記イにより名古屋地方裁判所から送付を受けたものを利用して作成されたものであった。),同裁判所に対し,本件再生債権として,別紙「再生債権」のとおり,1基本事件で請求中の販売委託手数料1207万9840円及びこれに対する遅延損害金,2不当利得返還請求債権838万9124円及びこれに対する遅延損害金,3販売委託手数料1145万6001円及びこれに対する遅延損害金,4損害賠償債権1億4910万3696円及びこれに対する遅延損害金の元金合計1億8102万8661円及び遅延損害金合計7917万9000円を届け出た。
エ相手方は,申立人が届け出た本件再生債権の全額につき,債権額及び議決権額とも「認めない」旨の再生債権認否書を名古屋地方裁判所に提出した結果,その旨の再生債権者表が作成された。
オ名古屋地方裁判所は,相手方について再生計画認可決定をし,同決定は平成13年11月17日確定した。
なお,相手方の民事再生手続に関しては,法64条1項に基づく管財人による管理を命ずる旨の決定はされていない。
(3) 申立人による本件受継申立て
申立人は,平成13年12月5日,基本事件について,当裁判所に対し,同月4日付受継申立書を提出して,本件受継申立てをした。
2上記1の事実関係に基づき,本件受継申立ての適否につき検討する。
(1) 法は,再生手続開始の決定があったときは,再生債務者の財産関係の訴訟手続のうち再生債権に関するものは中断するものとし(法40条1項),再生債権に対する調査において,再生債権について再生債務者等から異議が出たため確定しなかった再生債権に関し,再生手続開始当時訴訟が係属する場合は,再生債権者がその内容の確定を求めようとするときは,異議者の全員を相手方として,訴訟手続の受継の申立てをしなければならず(法107条1項),同受継の申立ては,異議のある再生債権に係る調査期間の末日から1か月の不変期間内にしなければならないものとしている(同条2項による法105条2項の準用)。
(2) 申立人は,基本事件において,相手方に対し,上記1(1)アのとおり請求しているところ,そのうち1の請求は,本件開始決定にかかる再生手続開始前に締結された,靴等の販売委託に関する権利義務を定めた本件契約に基づく,本件開始決定に係る再生手続開始前の原因に基づく販売委託手数料請求権であるから,法84条所定の再生債権に該当することが明らかであり,また,2の請求は,上記時期及び内容に係る本件契約に基づく契約関係の存在確認請求であり,3の請求は,上記時期及び内容に係る本件契約が定めるノウハウ料の支払義務の不存在確認請求であるから,いずれも,本件開始決定に係る再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権として,法84条所定の再生債権に該当するものである。
したがって,基本事件は,本件開
始決定により,法40条1項に従って中断することとなったものである。
そして,上記1の事実によれば,申立人の届け出た本件再生債権については,再生債務者である相手方からその全額につき異議が出されて確定しなかったのであるから,申立人は,その内容の確定を求めるためには,本件開始決定で定められた一般調査期間の末日である平成13年4月27日から1か月の不変期間内において,基本事件につき受継の申立てをしなければならなかったところ(法107条2項,105条2項),申立人が当裁判所に本件受継申立てをしたのは,上記不変期間を約6か月余り経過した後の同年12月5日であったのである。
(3) ところで,民事訴訟法97条1項は,不変期間の不遵守について「当事者がその責めに帰することができない事由」(追完事由)がある場合には,同項の定めるところに従って,不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができる旨規定している。
そこで上記追完事由の有無について検討するに,申立人は,本件受継申立てにつき上記(1)の不変期間を遵守できなかった事情として,本件再生債権が調査で否認されたことについて申立人に対する通知がなかったことを挙げる。
しかし,法は,民事再生手続による再生債務者の事業又は経済生活の再生を図る観点から,再生債権の調査及び確定手続を迅速なものとするため,会社更生法や破産法とは異なって,債権調査期日制度や異議ある届出債権の債権者に対する裁判所書記官からの通知制度を設けることなく(会社更生法146条,破産法243条参照。
ただし,民事再生規則44条),ただ再生債務者からの認否書の提出の制度を設けた上,再生債務者からの異議の有無は,再生債務者の主たる営業所又は事務所に同認否書写しを備え付ける方法により開
示する制度を採用しているのである(法101条,民事再生規則43条)から,本件再生債権について相手方から異議があったことの申立人に対する通知は法の予定しないところである。
したがって,申立人主張の通知がなかったとの事実は,民事訴訟法97条1項の「当事者がその責めに帰することができない事由」(追完事由)に該当するものではない(なお,申立人に対しては,上記1(2)イのとおり,本件開始決定をした名古屋地方裁判所から,再生債務者からの異議の有無は,再生債務者の主たる営業所又は事務所に備え付けられた認否書により,各自で確認するよう記載された書面も送付されているのであるから,申立人又はその代理人において,平成13年4月当時,法が平成12年4月1日に施行されてそれほど年月が経過していないため,法における再生債権の調査等の手続に通暁していなかったであろうことを考慮しても,申立人主張の通知がなかったとの事実をもって上記追完事由に該当するものということは到底できない
。)。
そして,申立人主張の他の事実(前記第1,1)は,そもそも民事訴訟法97条1項所定の追完事由をいうものではないし,他に上記追完事由の存在についての主張立証はない。
(4)そうすると,申立人の本件受継申立ては,法定の申立期間経過後にされた不適法な申立てであるというほかない。
3よって,本件受継申立てを却下することとし,主文のとおり決定する。
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